オリジナル・サイコ―異常殺人者エド・ゲインの素顔

もう20年近く前のドキュメント小説になります。

1957年にアメリカのウィスコンシン州で起きた殺人事件から家宅捜索された事で明るみに出たおぞましいばかりの猟奇的な殺人、死者を冒涜する現実に起きた行為の数々を綴った本です。

この本の物語の主人公になっているのは逮捕と共にアメリカ中を震撼させ、関わった数多くの人々に悪夢を見せた(それぐらいのトラウマを植え付けたと解釈しても差し支えないと思います。)殺人者エド・ゲインという実在した人物です。

著者の視点、著者の語り口で書かれてはいるものの、エド・ゲインの生い立ちから逮捕後の死ぬまでを細かく取材した上で克明に記録したドキュメント作品になっています。

先ず、自分が興味の対象として見ていたのは、サイコパスという病気というか人格障害みたいな部分でした。

というのも、好きな作家の1人である貴志祐介さんの作品にソレを扱った話が数多くあるからです。

自分の中でのイメージとしては[サイコパスとは他者との間に共感性を持たない利己的な人物で、自己の思いを完遂する為には手段を選ばない。]感じでした。

そして、アルフレッド・ヒッチコックの名作ホラー映画と言われる『サイコ』のモデルとなり、後年に続々と作られたホラー映画の監督に影響を与えたと言われオリジナル・サイコと呼ばれるエド・ゲインについての興味はある種の憧れに近い感覚でもありました。

読んでみてどうか?というと、[やらかした事]については事実は小説よりも奇なりという言葉が表すように衝撃的で、ワイドショーでも屡々見掛ける『あの人がそんな事を!』って感じで、まさかが息を潜めて何気無い顔をして隣家に潜んでいる感じなんです。

ただ、エド・ゲインが異常な殺人者だとか、ホラー映画のモデルになった、影響を与えたという部分よりも彼がそうなってしまった背景の方がゾッとして印象に残ったような気がします。

やらかした事は悪いけれど、エド・ゲイン自体が悪の心に塗れた人には見えませんでした。

こんな事を言うのは不謹慎にあたるかも知れませんが、現在の日本でいとも簡単に子供を虐待する大人、自分がしなければならない事を学校や塾に押し付けて文句だけは立派に言う大人、そんなモノに影響を受けて育つ子供も他者とのコミュニケーションよりも手元の画面の中にしか興味が無い……状況こそ違うけれど、何気無い社会の中に何人ものサイコパスが育っているような気がします。